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「そっそうなんですか。はじめまして、美保と申します」
 家政婦がいることを知らなかった美保は驚きつつも、頭を下げた。
「若奥様とはもっとお話したいんですけど、もう定時なので上がらなきゃいけないんです。正式なご挨拶は、明日の朝にしますね。フェリーの時間がありますし、鮫塚さん行きましょうか」
「そうですね。ではお二人とも、末永くお幸せに」
 鮫塚は営業スマイルで軽く頭を下げると、カバンとアタッシュケースを持って奥寺と共に家から出て行く。
 奥寺が運転する車の音が遠ざかっていくのを聞いていた美保は、深いため息を吐いた。
「はあ……。行きましたね」
「ええ。鮫塚さんにはいろいろと、ご不便をおかけしてしまいました。お恥ずかしい話なんですが、列島へ向かう最終フェリーは午後三時に出るんですよ。午前九時にもフェリーは来ますけど、一日に二往復するだけなんですよね。今では乗客がいない時もよくあるそうですが、列島から運ばれてくる荷物がありますからね。決まった日時には必ずフェリーは来るんです」
 草太に説明されて、美保は先程乗ってきたフェリーの中を思い出す。
 小型のフェリーには美保と鮫塚以外、老人が一人とランドセルを背負った子供が一人いるだけだった。利用者が少なければ、フェリーも最低限しか動かないのだろう。
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