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「…じゃあこのファイルは意味が無かったのでは?」

「まあ一応。でも梨奈ちゃんに目を付けてくれるとは思わなかったわ。やっぱり若様は見る目があるのね」

妙なところで感心されても、嬉しくない。

「ちなみに今回も断るという選択は?」

「我等、秘書軍団とあの社長から逃れる力と勇気があるなら、止めはしないわ」

梢さんはニッコリ笑顔を浮かべたが、メガネの奥の瞳はマジだ。

「…ではこの梨奈って女の子でお願いします」

「分かったわ。それじゃあセッティングはこっちで準備するから」

「はい…」

紗雪の時は勢いでヤッてしまったけれど、今回はもしかしたらやらなくても良いかもしれない。

何せ相手はセックスに何かしらの負の感情を持っている。

話し合いだけで終わるのならば、良い経験になるかもしれない。

その時のオレは、僅かに浮かんだ可能性に喜んでいた。

…そんな簡単に済むハズはないと、実感するのは間も無くのことだった。

「ここ…ですか?」

「ええ、梨奈ちゃんのご希望よ」

梢さんの運転する車で連れて来られたのは、雑誌にも紹介されるほど有名なラブホテルだった。

「ここはカバンは必要ないぐらい、準備が整っているから」

カバンと聞いて、クラッと目眩がした。

前回、紗雪との時にはじめて見たカバンの中身は、セックス用具で埋め尽くされていた。

思い出すだけでも血の気が引く。

「このラブホテル、確か深夜番組でも紹介されていましたね」

「嬉しいわね♪ ここはウチの会社のラブホテルなのよ」

再びくらぁ~り…。

「電話一本、あるいはメールで何でも揃えてくれるから。特に若様のご希望なら、一瞬で何でも用意してくれるわよ」

梢さんはホクホク顔で言うが、オレはノーマルだ。

「あっ、そうですか」

「まっ、今回は梨奈ちゃんが相手だし、話中心にお願いね」

不意に真剣な顔になり、梢さんは声を潜めた。

「分かっていますよ。それとなく、相談に乗ってみます」

カウンセラーから、ある程度の講習は受けた。

自分では手に負えないと思ったら、カウンセラーに回すという話だし、今回は気が楽だ。
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