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 由香里さんののんびりとした癒しの雰囲気が良かった。
「由香里とあたしは高校からの付き合いでしてね。まあ親友と言うものです」
「うふふ。梢ちゃんとは就職先まで同じになるなんて、思わなかったわぁ。きっとご縁があるのねぇ」
「腐れ縁ってとこじゃない? …っとと、すみません若様。玄関先にいつまでもいたら、お邪魔になりますよね」
 そう言って梢さんは由香里さんの腕を引っ張り、玄関の扉の前からどいてくれた。
「あっああ、うん」
「それじゃあご勉強、頑張ってくださいね」
「若様、失礼しましたぁ」
 そうして二人は去って行ったが、オレはしばらく玄関の前から動けなかった。
 多分…一目惚れだったんだろう。
 けれどその後、由香里さんはウチに来ることはなく、オレも自然と忘れていった。



 ―が、何故五年の時を経て、こんな再会をしてしまったんだろう?
 …いや、そもそもこの会社の内容を知った時に、思い出すべきだった。
 梢さんのことを同僚と言っていた由香里さん。
 ならば自動的に、『性』に関する仕事をしていると言うことになるんだ。
 ………オレのバカ。
 オレは改めて自分の頭の回転の悪さを呪った。
「…でも由香里さんってマッサージ部門に働いていたんですね?」
「ええ、梢ちゃんから聞いていなかったの?」
「全く」
 今回の移動の件が突然過ぎて、いろいろ説明不足な面が出ているんだろう。
「わたしはね、このマッサージ部門の部長を務めているのぉ。まあ女性部門の方だけどね」
 そう言って五年前と変わらない癒し系の笑顔をオレに向けてくる。
 …梢さんと言い、この会社で働いていると不老になるんだろうか?
 真剣にそう思ってしまうぐらい、彼女は五年前と全く変わらない。
 まあ違うところと言えば、五年前に出会った時は青のスーツを着ていた。
 今は白い白衣を着ている。
 う~ん…。コスプレに見えるなぁ。
 由香里さんは若妻みたいな感じだから、コレでマッサージをされても、プレイの一種にしか思えない。
 …あっ、違った。
 『性』を扱っているんだから、プレイの一種で正しいんだった。
 いつまでも非常識が身に付かない自分が悲しい。
 いや、本当は身に付かない方が良いんだが、社員としては正しくないというところが問題だろう。
「若様は今のところ、梢ちゃんのところで見習い修行中なのよね?」
 顎に指を当て、首を傾げる仕草がとても可愛らしい。

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